風邪<症状と治療法>
安静・保温・水分補給を忘れずに!
☆今回は外来患者との会話で構成してみました☆
患者:インフルエンザの予防接種をお願いします。これでしばらく風邪をひかずにすみますね。
医師:とんでもない。インフルエンザウイルスによる風邪症状すなわちインフルエンザには有効かもしれませんが、一般の風邪の予防にはなりません。風邪を引き起こすウイルスはたくさんあって、インフルエンザウイルスはそのひとつにすぎません。ただし、インフルエンザの場合は、上気道症状もみられますが、38℃以上の高熱、頭痛、関節・筋肉痛などの全身症状が強いのが特徴です。
患者:風邪をひきました。
医師:いつからどのような症状がありますか?
患者:2,3日前からおへそのあたりから下腹にかけて不快感があり、少し寒気がして、便がゆるいです。
医師:それは風邪ではなくて、胃腸炎ですね。
患者:いや、これは風邪に間違いありません。
医師:ウイルスによる『胃腸かぜ』という言い方もできるかもしれませんが。
患者:とにかく風邪薬をください。
医師:『風邪薬』という、ある決まった薬はありません。たとえ市販の薬であっても、症状に合わせてうまく選ばなければなりません。勝手に自己診断して、いわゆる風邪薬すなわち咳止め、抗ヒスタミン剤・解熱鎮痛剤などが含まれる薬をやみくもに服用するのは、かえって危険です。
患者:熱があって体がだるく、鼻水が出て、喉がヒリヒリします。食欲はあります。
(診察後・・・)
医師:風邪の典型的な上気道症状がそろっていますね。内服薬とうがい薬を処方します。水分をよくとって、安静にしてください。
患者:仕事があるので、すぐよくなる注射をしてください。
医師:そのような注射はありません。特別な事情で咳止めや熱さましのための注射をすることがありますが、その場限りの効果であり、むしろ症状の改善を遅らせます。内服薬、坐薬で十分であり、しかも比較的安全です。
患者:じゃあ、点滴をしてください。
医師:口から物が食べられる場合には、わざわざ点滴をする必要はありません。風邪のため気持ち悪くて水分すら摂れない状態が続いている場合にのみ、水分・栄養補給のために点滴がすすめられます。風邪のために特別な点滴薬があるわけではありません。血管内に針を刺すという危険な行為よりも、安静をとり、経口的にゆっくり水分・栄養を摂取したほうが体にとってより自然な治療法であり、よっぽど合理的です。
患者:いつも抗生物質をもらって飲んでいます。
医師:抗生物質はウイルスを殺す薬ではないので、原則的には適用はありません。不必要に抗生物質を服用することで、抗生物質に強い細菌が増殖しやすい環境を生体内に作ってしまいます。
患者:風邪がはやっているのでマスクをして生活しています。
医師:風邪の病原体は、花粉や細菌と比べてきわめて粒子の小さいウイルスなので、通常のマスク着用で予防できるかどうかは疑問です。かえって長いことマスクを着けているほうが不潔になりやすく、逆効果です。
患者:日常生活でとくに注意しなければならないことはどんなことですか。
医師:空気の乾燥が生体にウイルスの付着しやすい状況を作るので、暖房などのかけすぎに注意しましょう。普段のうがいには消毒薬は不要です。近くの風邪患者のくしゃみや咳にあたったら、すぐにうがいと洗面をしましょう。
患者:風邪をひいたので、ドラッグストアで風邪薬を買って飲みましたが、ちっとも良くなりません。
医師:風邪といっても人により主症状が異なります。高熱でだるい、くしゃみ・鼻水、のどの痛み、咳、喀痰などなど、これらがいろいろ組み合わさっていることが多く、それらに対して効果があうように薬は選択されるべきです。それと、忘れてはならないのは、風邪薬というのは基本的に症状を抑えるための対症療法であるということです。安静と保温につとめ、水分を十分に摂ることが一番の治療法ですが、仕事や学業を休むわけにもいかないので、やむなく薬を使っていると考えてください。
患者:インターネットでも風邪薬を購入できます。
医師:一般用医薬品の危険度別分類では、風邪薬は第2類すなわち『まれに重い健康被害が起こる恐れのある薬』に分類されています。安全性を保つためには、風邪薬といえども患者の顔を見て症状を聞いたうえで販売すべきとの意見が厚労省から出されているのでインターネット販売は今後見直されるでしょう。
あさひ病院長:金秀樹
【Korean Mediciam Net 掲載】
