ちょっと気になる健康問題 ~第1回~

Q/血液サラサラという言葉をよく耳にしますが、どういうことですか?

 

A/血液の個体成分には赤血球、白血球および血小板などがあります。径8マイクロメートル(8mmの千分の一) の赤血球が毛細血管という一番細い血管(7マイクロメートル)を通る際には変形しなければなりません。白血球も同様です。血小板は毛細血管径より小さい が、細い血管を通る際に凝集しやすい性質を持っています。血液の流動性、すなわちサラサラ度を調べるために人工的な毛細血管を作り、そこに血液を流す装置 が考案され、これを用いて赤血球や白血球の変形能、血小板の凝集能(固まりやすさ)を調べるのです。つまりこの装置で作られた毛細血管を滞りなく円滑に血 液が通過する場合を「血液サラサラ」と表現しているのです。しかしながら、この装置で血液の通過が遅延する、いわゆるサラサラでないとしても、臨床的に問 題となる動脈硬化という現象とは関係がありません。毛細血管がつまることと動脈壁内側がせまくなる動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)や静脈血栓症と は直接関連していないのは容易に理解できます。これらは毛細血管よりはるかに太い血管での異常事態であることを認識すべきです。

 

 

 

Q/玉ねぎを食べると血液がサラサラになる、とのことですが?

 

A/玉ねぎのエキスを加えた血液を調べた実験結果からそのような話が出ているようです。人の血液に生玉ねぎのエ キスを直接注射するわけにはいきません。あくまで人は口から食べるわけですから、こういった実験結果は実際にはどれほど意味があるのか疑問です。ただし、 玉ねぎ自体は大変健康的な食材であることはみなさんご存知の通りです。

 

 

 

Q/血液をサラサラにする薬があると聞きましたが?

 

A/血小板の作用を阻害したり(抗血小板薬)、血液凝固を抑制して(抗凝固薬)血栓ができにくくしたり血管が詰 まりにくくする薬剤は今日広く臨床の場で使用されています。こういった薬剤の作用をわかりやすく説明するために、便宜上「血液をサラサラにする」という表 現を用いることがあります。いっぽう裏を返せば、出血を生じやすい、あるいは出血性の病気やけがで出血した時に出血が止まりにくくて大量出血になる、と いった危険性が伴います。それゆえ、この薬剤はあくまで医師がきちんと適応を判断し、医療機関で処方されるものです。

 

 

 

参考図書:「ニセ科学を見抜くセンス」 左巻健男(新日本出版社)